●コラム
この吉高由里子の『蛇にピアス』に関するブログサイトの記事を考えていた2008年6月8日、日曜日の昼頃、東京の秋葉原で通り魔殺人事件が起こりました。
今年に入ってから1月に品川で、3月には土浦で同様の通り魔殺人事件が起きています。
今の時代を反映した、これからも続く可能性のある恐怖の事件です。
さて、この事件の内容ですが、犯人の加藤智大(かとうともひろ)は、2008年6月8日(日)昼の12時半頃、東京の電器製品とゲーム・アニメの街である秋葉原にて、レンタカーの2トントラックで歩行者天国にいた3人をひきます。
そのあと、トラックにひかれたケガ人を介抱している人を含めて、刃渡り13センチのダガーナイフと呼ばれる軍人が使う殺人専用のナイフで次々と通行人を刺して行きました。
そして、男性6人、女性1人の7人が殺され10人が重軽傷を負う事件となりました。(学生、会社員、警部補等合計17人の被害者です。)
追いかけた警官が、ピストルを犯人に向けたため、犯人はおとなしくなり取り押さえられました。
犯人は、静岡県の自動車部品製造会社で派遣社員として働いていました。
犯行については、2〜3日前に決意しており、秋葉原が日曜日は歩行者天国になることも知っていました。
犯行当日、携帯電話でネットのサイトに犯行を宣言するメールを数通送っていますし、友人にも意味不明のメールを送っています。
犯人の加藤は、犯行後の警察での取り調べで、
「生活に疲れた。」
「世の中がイヤになった。」
「誰でも良かった。」
と語っています。
どうして、このような惨殺(ざんさつ)事件になったのでしょう。
犯人の加藤は、青森県でトップの進学高校で学んでいます。
でも、小学生の時からキレやすい性格だったようで、小学時代の文集で自らを「短気、強情、鈍感、ドジ」と表現しています。
成績は優秀で進学高校に入学しましたが、自動車が好きで岐阜県の自動車関係の短期大学に入学したあと就職しました。
しかし、親の借金もあり、その後お金に困る生活が続いて家賃も滞納する有様でした。
アパートの部屋には、同人誌系のアニメ誌がわずかにあるばかりで他には何もなく、友人は、典型的な秋葉系のロリコンオタクだったと証言しています。
犯行の3日前に、職場で自分の作業着が無いことに腹を立てて、それ以降は、会社に出勤していませんでした。
通り魔的殺傷事件には、一般的な犯人像があります。
1.独身男性である。
2.安定した職業についていないか、所得が低く生活苦がある。
3.性格的には、子供の頃から粗暴である。
4.家庭や社会から孤立している。
以上ですが、今回の秋葉原での事件も、犯人にピタリと当てはまります。
このような状態で、犯人は孤独で貧乏な生活に不満を持ち、そのやり場のない怒りを社会のせいにして強い恨みと憎しみを積み重ねて行きます。
そして、いつしか「社会」の象徴である「不特定多数」を恨むようになり、それに向かって犯行を実行してしまったのです。
人間は、今の自分の状態を受け入れて、不足していることがあれば自らの努力で獲得していかなければなりません。
でも、本来優秀だと思っていたはずの自分が、社会で成功しないのは、やり場のない本人にとって、それは社会の制度のせいだとしか考えられなかったのです。
他にに甘えることができなくて、孤独で苦しみ絶望的となり、社会に対して抗議する意味で犯行を行います。
このような事件のあとは、恥ずかしくて本人が言い出せなかったことや、犯人の問題に気づき親身になって理解する人が周りにいなかったことなど、あとになってくやまれることがたくさんあります。
犯罪心理学では、殺人を犯す人は「殺人者精神病」であると考えます。
その「殺人者精神病」を学ぶと「血の酩酊(めいてい)」という言葉がでてきます。
これは、一度殺人を犯して血を見ると異常な興奮状態となり、後は夢中で殺人を続けるというものです。
あとで、犯人にその気持ちを聞いても何も覚えていないようです。
原始人が動物を狩っていたときの殺戮(さつりく)のエクスタシー(快感が最高潮に達して無我夢中の状態になること。恍惚(こうこつ)。忘我。)がよみがえった、先祖帰りの現象と言われています。
また、これらの残酷な殺人事件は、テレビ・新聞・インターネット等のマスコミで広まりますが、それに共感してまねをしようとする模倣犯(もほうはん)があらわれる危険があります。
また、自分も事件を起こして、それらのマスコミの報道で自分の訴えを通そうとも考えるのです。
インターネットが発達した情報化社会において、マスコミのあり方にも細心の注意が必要なのです。
これらの一連の動きを観て、同じような犯行をするかしまいか、悩んでいるグレーゾーンと呼ばれる人たちがたくさんいる中で、実際に犯行におよぶのは氷山の一角です。
社会が、悩み苦しむ個人に焦点を当てた政策をとらない限り、このような、通り魔的大量殺人が今後もあとを断たないのです。
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